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                          2005年 動物愛護法改正で動物取扱業が登録制に
                          動物取扱業の遵守基準の制定へALIVE 2005.12.1  全国各地で発生する悪質動物業者による動物虐待と飼育怠慢の事件に、これまで多くの心ある人々が憤り、悩まされ、心を痛めてきました。  「動物業者に法規制を!」という声は動物愛護法の改正を求める世論となって国を動かし、とうとう今回の法改正が実現できました。動物取扱業に対する規制の強化は、まさに今回の動物愛護法の改正の最大のポイントです。  改正で強化された動物取扱業に対する規制は、今後以下のような各種基準(施行令)にもとづいて運用されていくことになります。(施行は2006年6月)
 ◎動物取扱業の登録制
 ◎登録の拒否基準
 ◎登録の遵守基準
 ◎標識の掲示
 ◎動物取扱い責任者の選任及び研修
 
 なお、これらの基準案は10月中旬に環境省のホームページで公開され、約1ケ月間、一般からの意見を聞くパブリックコメントが行われ、それらの意見も加味した上で制定、2006年6月1日より施行となる予定です。※
 
 悪質なお店や施設を見かけたら、これからは法律と基準に照らして対処できるようになるでしょう。
 ※施行済みです。   私たちにできること 
 <主な法規制の内容> ■は、動物の愛護及び管理に関する法律●は、動物取扱業の基準(環境省令)
 ■動物取扱業の登録(第10条)  動物取扱業者は、都道府県知事に業としての登録が課せられ、登録をしない(無登録)業者は営業することができません。無登録で営業をした場合は、法律違反となって処罰されることになります。 ■登録の拒否(第12条)  都道府県知事は、登録の要件を満たしていない申請に対しては、登録を拒否しなければなりません。また登録の取り消しを受けて2年を経過していない場合も、登録の拒否となります。 ●登録の拒否基準  以下のような登録の要件を満たしていない場合は、登録が拒否されることになります。 ◎事業関係の要件  (1)例えば不法占拠している土地や立ち退きを求められている施設などで営業をしている場合  (2)登録の際に提出する事業計画が、登録の遵守基準に合致していない場合  (3)事業所毎に一名以上の常勤の職員を動物取扱責任者として置いていない場合  (4)以下のような要件をみたす職員が一人もいない場合・半年以上の実務経験があること
 ・専門の学校を卒業していること
 ・民間の資格等を有していること
 ◎施設関係の要件  (1)業の実施に必要な機能をそなえていない  (2)業の実施に必要な設備をそなえていない具体的には、個別飼育設備、証明、給水、洗浄、消毒、排水、汚物処理、
 飼料保管、空調、遮光及び防風雨設備などが備わっていない
  (3)ケージ等個別飼育設備の構造が不適切である  (4)飼育する種とスペースに応じた適正規模でない ■登録の更新、変更、廃業(第第13条、第14条、第16条)  登録は5年更新です。再更新の手続き、あるいは事業の変更や、途中廃業などの場合も、都道府県知事に30日以内に届出をする義務があります。これに違反すると罰則があります。 ■登録簿の閲覧(第15条)  都道府県知事は、動物取扱業登録簿を公開し、誰でもが閲覧できるようにしなければなりません。 ■標識の掲示(第18条)  都道府県知事に動物取扱業の登録をした業者は、事業所ごとに「標識(登録票)」を誰の目に見える場所に掲示しなければなりません。標識を掲げないで営業すると10万円以下の過料が課せられます。 ●登録票の掲示  標識には、氏名(法人名)、事業所の名称と所在地、業の種別、登録番号、登録年月日(有効期限)、動物取扱責任者の氏名を掲示することになっています。  事業所以外の場所で営業する場合は、すべての職員が胸元等に上記を記載した名札を付ける必要があります。  インターネットや雑誌広告などで通信販売を行う業者の場合は、その広告画面に上記の標識を必ず付ける義務があります。 ■登録の取り消し(第19条)  虚偽の登録であったり、業の遵守基準(第21条)に反する営業をしていたり、あるいは動物愛護法違反、愛護法に基づく基準違反の場合には、都道府県知事は登録を取り消し、または6カ月以内の営業停止を命じることができます。登録を取り消された業者は、2年間は業を営むことができません。 ■基準の遵守義務(第21条)  動物取扱業者は、環境省令で定められた動物の健康と安全、生活環境の保全等に関する基準を遵守すべき義務があります。 ※基準(環境省令)の中で特に動物の保護の観点から注目すべきいくつかの事項をピックアップして示します。 ●販売時の説明責任  ペットショップなどで動物を販売する場合は、店側は動物に関する十分な情報を、文書をもって説明しなければなりません。文書で説明する内容は、 ・動物の種類、性成熟期時の標準体重及び標準体長、平均寿命、飼養施設の構造及び規模、給餌給水方法、運動及び休息方法、主な感染症の予防方法、不妊去勢の方法及び費用その他、遺棄の禁止、性別、生年月日、不妊去勢措置の実施状況、生産地の生産情報、個体の病歴及びワクチンの接種状況、遺伝性疾患の発生状況、です。  ※このような情報がきちんと提供されることは、店側にも客側にも、動物を飼育することの責任の重さを感じさせることになるでしょう。
 ●記録の保持  店側はお客に対して行ったこれらの説明を行い確認を記録した台帳を備え付け、5年間は保存しなければなりません。  ブリーダーなどの繁殖業者においても、繁殖の実施状況を記録した台帳を作り、5年間保管の義務があります。  これにより、万一、購入した動物にトラブルが発生した場合など、ある程度追跡と原因を追及できるようになることが期待されます。 ●幼齢動物の販売禁止  販売業者は、離乳していない犬猫など(哺乳類に限定)を販売できないとしています。欧米諸国では8週齢(56日)未満の子犬子猫は販売が禁止されており、これにあわせようというものです。社会化期を必要とする犬猫などについては、親子や同腹動物と共に飼養することが記されています。  ※今の基準案には数値が記されていないため、実際の店頭ではあいまいなものとなりかねません。 ●長時間の展示の制限  繁華街で朝方近くまで営業しているペットショップがあり、ほとんど終日人目にさらされています。このような展示に対しては「必要に応じて」展示を行わない時間を設けることとされています。  ※「必要に応じて」とは、具体的に何を根拠にしていくのかがあいまいで、悪質業者に対処できるかギモンな点です。 ●過度の接触の制限  ふれあい動物園などでは営業時間中、ほとんど休み無く動物にさわったりすることができるようになっています。それによって動物が過度にストレスを受けたり感染症の感染のおそれもあり、適度に休ませることとしています。  ※何が「過度」なのか誰もわからない状態では、困ります。個別の事例毎に観察データを集めて「過度」の定義をしていく必要がありそうです。 ●「行動の自由」をはかる  動物福祉の原則「5つの自由」の一つに、動物の本来的な行動が発現ができることがあげられれています。本基準案には「個々の動物が自然な姿勢で立ち上がり、横たわり、羽ばたくなどの日常的な動作を用意に行うための十分な広さ及び空間を有していること」とあり、これに加えて、「飼養時間が長時間に渡る場合は必要に応じて、走る、登る、泳ぐ、飛ぶ等の運動ができるようにに、より逸走の広さ及び空間を有すること」と記されています。  ※これにより日本でもようやく「単に水と餌だけを与えればよい」といった牢獄的飼育方法からの脱皮がかなえられるかもしれません。 ●廃業時の動物の取扱い  基準案では「動物が命あるものであることに鑑み、譲渡し等によって生存の機会を与える努力をすること。殺処分しなければならない場合等にあっては、できる限りその動物医苦痛を与えない方法によること」と記されています。  ※これまでもペットショップやブリーダーが廃業するとき、世話もせずに放置され餓死させられることがしばしば問題になりましたが、適切な対処が望まれます。 ■動物取扱責任者(第22条)  事業所毎に、必ず動物取扱責任者を置かなければなりません。動物愛護法違反で処分を受けた者などは不適格者です。また、都道府県が実施する研修を受ける義務があります。 ●動物取扱責任者が受ける研修  研修の内容は、動物の取り扱いに必要な知識や能力、関係法令の遵守等についてで、最低でも1年に1回は受ける義務があります。 ■勧告・命令(第23条)  動物取扱業者が、業の遵守基準を守っていない場合、都道府県知事は、改善を勧告することができます。勧告に従わない場合には改善命令が出されます。 ■報告・検査(第24条)  動物取扱業の業の実施に関して、都道府県知事は業者に報告を求めたり、必要な場合には立ち入り調査ができます。 
                          
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                                 実際にペットショップや展示施設などでの劣悪な取り扱いを見かけた場合、どのようにして改善させることができるでしょうか。 
                                  
                                    |  |  
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                                    | 床が目の粗い金属の棒状で、足が挟まるおそれがある。日のささない暗い倉庫の中で飼育されていた繁殖犬。 | 街中のビルの中の犬の繁殖場。段重ねのケージに入れられたまま、散歩も運動もさせていないようだ。 |  
             この基準に照らして、私たちがチェックできることはたくさんあります。以下のそのいくつかをあげてみます。 
             (なお、実際に効力をもつようになるのは2006年6月の本法施行後 となります) ◆違法業者でないかの確認  ペットショップやふれあい施設などに行ったら、まず店に標識(登録証)が掲示されているかどうか確認しましょう。これがなければ違法業者であると疑わなければなりません。実際に登録している業者であるかどうかを知るには、都道府県の窓口で業者の登録簿を閲覧することにより確認できます。行政に問い合わせることにより、誰でも、どこの地域でどのような業者が営業しているかを知ることができます。不正登録や無登録営業には罰則があります。 ◆店員への質問  ペットショップなどに行ったとき、まだ幼い子犬や子猫が店頭に展示されているなどしたら、動物取扱責任者あるいは従業員の方に、動物の生産地情報、生年月日、給餌給水方法、飼育方法などについてのきちんとした説明を求めましょう。  ふれあい施設などで、動物の飼育の方法や飼育環境などに疑問を持ったら、飼育担当者に、その動物の本来の生理、習性、生態等についての説明をしていただきましょう。  店や施設側にはこれらを説明する責任があり、質問に何も答えられないようだと、適正な営業をしているとは言えません。 ◆基準の遵守状況  動物が適正に飼育管理されているかどうか、遵守基準に照らし合わせてチェックすることも大切です。極端に狭い檻に入れたまま、運動もさせていないといったケースはたいへん問題です。   動物に心身の苦痛を与えているような飼育方法をみかけたら、都道府県の動物愛護担当部署に通報し、立ち入りと改善指導を求めましょう。   また水や餌を与えず衰弱させ、病気を放置するなど明らかに虐待と思われる状況では、警察に告発するべきケースになるかもしれません。 |    |