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会報「ALIVE」で取り上げた本・映画などをご紹介しています。
2008.2.2 更新
共生という生き方
トム・ウェィクフォード著 遠藤圭子訳 シュプリンガー・フェアラーク東京刊 1900円+税
地球環境や生態系の、あるいは生物のことを考えるとき、誰の目にも見えない微生物のことはしばしば見落とされてしまいます。しかし、微生物こそ、もしかしたらこの地球の本当の主人公なのかもしれません。 私たちは、自分の体は自分のものだと思っていますが、私たちの体のおよそ10分の1は、バクテリアのような微生物によって占拠されているのだそうです。もし大腸菌が腸の中に住んでいなければ、どんな食べ物を食べても消化されず栄養素を吸収することもできません。もし皮膚の上に常在菌がいなければさまざまな外的刺激の直撃を受けて、私たちの身体はあっという間にぼろぼろになってしまうでしょう。 私たちは彼らに身体という住まい(環境)を提供し、その見返りに彼ら(微生物)のサービスを受けています。異なる生物種が、お互いに互いを必要としている関係を相利共生と言います。これは、自然界に普遍的に見られる現象ですが、人間の体の中でもそのような関係が構築されているのは、驚きです。 私たちの身体が彼ら(共生微生物)の生息環境であるのですから、体重換算で言えば、1日のうち2時間くらいは彼らのためになるようなことを考える必要があるのかもしれません。 たとえば、ジャンクフードのような食分添加物や農薬まみれの食事は、彼らが分解吸収するのに難儀するだろうとか、抗生物質は彼らを善悪の見分けもなく無差別に殺してしまうので、腸内生態系をめちゃめちゃにしないように注意しなければ、などなど。 病気についても、病原体の立場に立って考えると、よりよい対処法ができそうです。 病原菌と呼ばれて悪者扱いにされている病原性微生物にも、生物としての存在の意味があるだろうし、生息地(環境)の快適性を選ぶ自由もあると考えられるからです。 もし病原菌が人間の体内で大いに暴れて宿主(人間)が死んでしまうようなことになると、自らの生息環境を消滅させることになり、自分で自分の首を締めることになってしまいます。それなので、病原菌は、急速な世代交代(変異)を重ねながら、人間に害のない常在菌に変貌していく傾向があるということが言えます。 これは、自然界でもよく見られることで、特定の外来生物が、未知の環境下に導入されたときにそこにニッチ(生態的空間)があると個体数が爆発的に増大するが、しかし、それは長くは続かないという現象です。すべての生物は、エネルギーを浪費する闘争を避け、領域を分け合って共存共生してきたのであり、これが地球の生物多様性の源泉ではないかと思われるのです。
(野上ふさ子)
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