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おすすめの本
野生動物

野の鳥は野に
−評伝・中西悟堂
小林照幸著  新潮選書  1100円
共生をめざした鳥獣害対策 農林水産技術情報協会編 全国農業会議所 1300円
クマの畑をつくりました
−素人、クマ問題に挑戦中
板垣 悟 著 地人書館
1600円
オランウータンの森 鈴木南水子・文 鈴木 晃・写真・監修 国土社
1600円
マンガ 絶滅する日本の動物 今泉忠明+佐藤春美 講談社+α文庫
野生動物問題 羽山伸一著 地人書館
2200円
山の畑を 井上雅文著 農文協
1500円
生かして防ぐクマの害 米田一彦著
農文協
2200円
ニホンザルの山 伊澤紘生著
フレーベル館
1500円
オランウータンと共に
−失われゆくエデンの園から(上・下)
べルーテ・ガルディカス著
新曜社
各3200円
心の窓
−チンパンジーとの30年
ジェーン・グドール著
どうぶつ社 
3000円
サバンナの話をしよう
−獣医・俊平のアフリカ日記
神戸俊平著
時事通信社
1600円
カラスはどれだけ賢いか 唐沢孝一著
中公新書 
720円

ALIVE No.77  本の紹介

野の鳥は野に
−評伝・中西悟堂

小林照幸著 新潮選書 1100円

 今、日本では原則としてすべての野鳥について、これを捕まえて飼ったり売ったりすることはできません。このことは鳥獣保護法で定められており、誰しも当たり前と 思っているでしょう。しかし、実は数十年前までは、野鳥は小さなカゴにに入れて飼うために捕まえられ、あるいは食用にされるためにカスミアミで一網打尽に捕獲されていたのです。このような悪習を廃絶するために闘ってきた先駆者がいたからこそ、日本の野鳥は生き延びることができました。中西悟堂さんこそがその先駆者です。
「野鳥」ということばを作り、「野の鳥は野に」、野生動物は野生のままに、という思想を、多くの書物を通して広く世に広められました。1935年に書かれた『野鳥と共に』は、野鳥に対する限りない愛情と慈しみが注がれた名著です。
 それ故に中西さんは、野鳥の生息地を奪う開発による自然破壊や、野鳥を大量に無差別殺傷するカスミアミなどについて、強い憤りを持たれ、自然保護やカスミアミの廃絶運動の先頭に立たれました(現在、カスミアミは販売も所持も禁止)。
 本書を通して、思索の人であり、かつ行動の人でもあった、中西悟堂という明治生まれの希有な人物の足跡をたどることができます。 

ALIVE No.66  本の紹介

共生をめざした鳥獣害対策

社団法人 農林水産技術情報協会編  全国農業会議所発行 1300円(税込み)

 サルやイノシシ、シカなどが農作物を食べ荒らすことによる農林業被害に対しては、選択肢はただ一つ、「有害駆除」だ、というのが従来の対策でした。しかし、近年は駆除をしようにも農山村の高齢化がすすみ、人手も予算もなく、それにもまして、動物の生態を理解せずにやみくもに駆除しても効果がないばかりか、かえって被害を拡大させることもあるということがわかり、新たな手法を取り入れる必要性が出てきました。本書では、農作物を電気柵や防御ネットで囲い込む方法や、地域ぐるみの取り組みなど、全国各地での対策事例が紹介されています。野生鳥獣は「邪魔もの」なく、「共存の相手」だという考えが打ち出されたことに時代の変化を感じます。

「日本昔話」で語られるように、私たちの伝統的動物観は「人と動物との間に親や連続性があり、殺生や肉食を避ける傾向にある」(本書)という認識の上に、このような対策が進められてほしいと思います。


鳥害・獣害こうして防ぐ

別冊・現代農業 2005年9月号 農文協 1200円

 農家向けの専門月刊誌『現代農業』で取り上げてきた野生鳥獣の被害対策をまとめて1冊にした本です。農林業被害を起こす野生鳥獣(カラス、スズメ、ヒヨドリ、ハト、カモ、ムクドリ、イノシシ、シカ、サル、クマ、タヌキ、ハクビシン、ネズミ、モグラ)とどうつきあうかを、やさしい言葉で具体的に細かく説明しています。日本では、被害問題に取り組まないと鳥獣保護は難しいということがよくわかります。

(野上ふさ子)

ALIVE No.63 本の紹介

クマの畑をつくりました −素人、クマ問題に挑戦中

板垣 悟 著 地人書館 

 昨年は全国各地でクマが出没して大きな話題となりました。環境省は昨年1年間で2千数百頭のクマが有害駆除されたと発表しています。

 一方、クマを保護したいという声も全国的に高まりつつあります。その気持ちはあるももの、では具体的に何をしたらいいのか、何ができるでしょうか。特に会社勤めなどをしていれば、なおのこと活動できる時間は限られます。

 著者の板垣さんは郵便局に勤務しながら、それでも、クマの保護のためにできることは何でもやってみようと試みました。例えば、ハガキ作戦です。かつて宮城県は、捕獲した檻の中のクマを槍で突いて殺すという方法をとっていましたが、全国からのハガキ作戦でこれを止めてもらうことができました。

 いま、日本中で起こっている野生動物による農作物被害の一番の原因は、彼らのすみかの森を伐採したことにあります。食べ物がなくて里に出てきては殺されるクマの姿に心をいためた板垣さんが、彼らを何とか山裾のところで押しとどめようと考えついたのが「クマの畑」です。

 野生動物には人の食べ物を与えてはいけないということは、野生動物保護の上でも原則ですが、板垣さんは「緊急避難」として、山裾にデントコーンの畑を作り、クマに食べさせることにしたのです。畑を始めて 年。毎年、観察とモニタリングをしています。この畑の効果が分かるのはこれからまだ先のことでしょう。それでも、クマが滅びる前に、私達にできることを、一つでも二つでもやってみようという強い思いに心打たれます。

(野上ふさ子)


ALIVE No.56本の紹介 

オランウータンの森

 鈴木南水子・文 鈴木 晃・写真・監修  国土社 1600円+税

 オランウータン「森の人」という意味。何十万年もの間、森とともに生きてきた。人間にとっても親類のような大型霊長類だ。その森の人たちの済む森が、この数十年来、伐採や火入れ、火事、開発などで急速に失われようとしている。日本も木材や石炭などを入手するために、それに手を貸している。鈴木晃氏は、単なる傍観的な研究者ではない。長年の間現地の住民の協力を得ながらオランウータンの保護に係わってきた。しかしこのような保護活動を政府が支援してくれるわけではない。いつも資金難に悩まされている。かけがえのないオランウータンを守るために、この保護研究活動を支援してください。

(野上ふさ子)

支援先オランウータン保護調査委員会


ALIVE No.51 本の紹介 

マンガ 絶滅する日本の動物

今泉忠明+佐藤春美 講談社+α文庫

 例えば千年前に建てられた寺院は「歴史的遺産」として厳重に保護されます。ところが、日本列島数十万年の歴史の産物とも言うべき日本固有の生物については、ほとんど保護されず絶滅するにまかせています。種の絶滅の原因の第一は、生息地の破壊で、次に、密猟・密売・過剰捕獲などがあげられます。そして、最近ようやく認識されるようになってきたのが、「外来侵入種」の影響です。日本に海外から輸入される動物は年間8億匹(昆虫を含む)、ペットだけでも数百万匹という膨大な数です、これを規制する法律はないも同然で、違法輸入を水際で防ぐことも難しい状態です。本書はマングース、アライグマなどの外来種問題を、マンガでわかりやすく説いています。

(野上ふさ子)


ALIVE No. 40 本の紹介 

野生動物問題

羽山伸一著 地人書館 2200円+税

 東京都心に現れたニホンザル、長野県地獄谷温泉や大分県高崎山の野猿公園のサルの間引きと実験利用、大阪でのオランウータンの密輸事件、和歌山県のタイワンザル問題などなど、これまで本誌でも何度となく取り上げてきた「野生動物問題」。まさにその言葉をタイトルにした本が出版されました。

 野生動物にはなぜ餌を与えてはいけないか、なぜ不妊処置をしてはならないのか、なぜ実験に使用してはならないかなどが明解に説明されています。野生動物の保護管理、ワシントン条約や絶滅のおそれのある種を守る法律、環境ホルモンが野生生物や生態系におよぼす悪影響などを考えるとき、野生動物問題とは実は私たちが生きているこの現代社会の問題なのだということが、実によくわかります。

(野上ふさ子)

ALIVE No.43 本の紹介 

山の畑をサルから守る-おもしろい生態とかしこい防ぎ方

 井上雅文著 農文協 1500円(税込み)

 飼育している動物に餌や水をやらなければ動物虐待だが、野生動物には決して餌を与えてはいけない。サルが山の畑に出てきて農作物を食べるのは、まさにそこに「餌」があるから。農地が野生サルの餌付けの場所になったら、各地の「野猿公園」と同じになってしまう。
本書は、サルの生態を知り、サルに餌(農作物)を与えず、追い払い、畑をガードすることを基本として、農作物被害を防ぐ方法を、わかりやすく具体的に紹介している。すぐに猟友会に頼んで駆除してもらおうという人任せのやり方ではなく、自分の畑は自分で守ろうという気概を促している。農家の人々も、被害さえなければサルを殺したいわけではない。畑を守ることはサルを守ることにつながる。こういう手法が普及してほしい。

(野上ふさ子)

ALIVE No.42 本の紹介

生かして防ぐクマの害 米田一彦著 農文協 2200円

月の輪熊は山へ帰った! 米田一彦著 大日本図書 1300円

 クマという動物が農作物を荒らしたり人に危害を加えなければ、人々は決してクマを絶滅させようとは思わないでしょう。子供の絵本や童話の世界では、クマほど愛されている動物はありません。現実には、クマは狩猟され有害駆除され、絶滅に向かっています。『生かして防ぐクマの害』は、クマの習性や生態、人との関わり、狩猟や駆除の実態、そして何よりも被害を防ぐためのノウハウがもうらされています。人は野生のクマとどう関わるべきかを知るには必読の本です。

 『月の輪熊は山へ帰った!』は、すみかを失い山から下りてきたクマたちが目の前で駆除されていく姿を見た米田さんが、彼らをまた山に返すためにどのような努力をしたかを子供たちに向けに書かれています。とても感動的な物語。

(野上ふさ子)

ALIVE No.39 本の紹介 

ニホンザルの山−森の新聞7 

伊沢紘生 フレーベル館 1500円

 日本の大多数の人々にとって、ニホンザルを見る機会は動物園のサル山くらいしかないでしょう。どのサルも毛ヅヤがなく脱毛し、うつむいて地べたの餌を拾い食いし、ボスの座を巡ってせめぎあいをしている…サルとはこんな動物なのだと思いこんでいます。

 しかし、野生のニホンザルの生態は、動物園や餌付けされた狭い空間に過密状態に置かれたサルの姿とはまったく異なるのです。著者の伊沢先生は、何年もの間山中で一人でサルの群れについて歩き、はじめて自然に生きる野生ニホンザルの姿を私たちに紹介してくれました。

 本書では、開放的な自然生態系の中では、ニホンザルの社会にはボスなど存在せず、互いを気にし合いながらも、それぞれが独立して自由に生きている姿が、とても生き生きと描かれています。農作物を食べ荒らし有害駆除されてばかりいるサルも、本来はこのように魅力的なかけがえのない生きものなのだということを、多くの人に知っていただきたいと思います。

(野上ふさ子)


ALIVE No.28 本の紹介

オランウータンととともに −失われゆくエデンの園から

ビルーテ・ガルディカス 著 杉浦秀樹 他 訳  新曜社 刊

 霊長類の研究者には二通りのタイプがあるように思われる。一方のタイプは、動物が絶滅する前にできるだけ、そして自分だけが研究すればよい、論文に希少価値が出るし、学位も取れるし出世もできる。研究が終わったあとは動物がどうなろうが知らぬ存ぜぬ。

 もう片方の研究者は、動物を研究するためには彼らの生息環境がじゅうぶんに保全されていなければならないことに気づき、個を脅かす密猟者と闘い、種を守るために生息地の保護に身を投じる。ゴリラについては、ダイアン・フォッシー、チンパンジーについてはジェーン・グドール、そしてオランウータンについては、本書のビルーテ・ガルディカス。三人とも白人の女性だが、野生霊長類の保護にかけるその生き方は感動的だ。

 「類人猿が絶滅に向かってすべり落ちていくのを見るとき、私たちは荒廃しつつある地球にすむ私たち自身の未来を目撃しているのだ。自分たちに最も近い親類と、その熱帯の生息地を守る行動を起こすなら、私たちは自分自身を救う第一歩を踏み出すことになる」(本書より)

(野上ふさ子)


ALIVE No.19 本の紹介

心の窓 −チンパンジーとの30年

ジェーン・グドール著 どうぶつ社 3090円

 チンパンジーは「チンパン人」と呼んだ方がいいとも言われます。野生チンパンジーを「隣人」として観察し記録し続けたグドールさんの30年。この隣人たちがどんなに際だった個性をもっているか、母子の愛情、仲間への思いやりや分かち合いなどの「美質」とともに、攻撃、暴力、子殺しなどの「悪事」があることも、人間とそっくりです。彼女は研究者として事実を冷静に観察し記録しているのですが、なお本書が最も人の心を打つのは、彼女のチンパンジーに対する心からの愛情です。

 いわゆる科学研究では、観察対象である動物に感情移入をしてはならない、擬人化してはならないということを鉄則としています。そして動物をまるで機械人形であるかのように、記号と数値で表現するのが「科学的」と信じています。このような態度の研究者達は、動物たちが虐待されたり殺されたりしている現実には、ほとんど何の関心も持ちません。

 グドールさんは、今、生息地の森の破壊、密猟や殺害からこの隣人達を守る活動に取り組み、ペットとして売られ虐待され、あるいは先進国の実験室という名の地獄に監禁されているチンパンジーの救出や福祉のために世界中を回って活動しています。人間がこの隣人達に加えている非道な暴力と残虐さに深く心を痛め、「もし思いやりによって、残虐性を克服できるなら、わたしたちはすべての生きものを尊重するという新しい分け隔てのない倫理の創造に向けて、確固とした歩みを進めることができる」と述べています。

(野上ふさ子)

 


 
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